アカトンボの未来はどうなるだろう? その1
さてここで、アカトンボについてここで詳しく書いていきます。
・アカトンボってどんなトンボ?
アカトンボの代表種、アキアカネ
「アカトンボってどんなトンボですか?」とその話題になって、こう訪ねてくる人はまずいないのじゃないかな(オニヤンマは、実はそれに近い反応があって内心衝撃でしたが;)。詳しくではなく、イメージ的に、秋になったら群れ飛ぶ赤っぽいトンボたち、という画が頭の中に誰しも浮かぶことでしょう・・・。
実は「アカトンボ」は種名ではなく、上の画像のアキアカネを始めとした何種類のあるトンボのグループの総称なのです。
体の色が赤くなるトンボたち何種類かをそう呼ぶのです。
さて、ここに書こうと思ったきっかけは、近年、このアカトンボ達が減っているという話題になってしばらく経つからです。
「え?今でもアカトンボは群れになってまだ見られるよ」とお思いの方も多いと思います。
ということで、下の項目に行ってみましょう・・・。
・これは、アカトンボ?
ウスバキトンボ
7月から現れ始め、9月から秋にかけて群れ飛んでいるトンボです。南の地域から日本列島を北上して、各地で産卵・ヤゴから孵化を繰り返しながら旅するトンボです。体の色がややオレンジ色で、群れ飛ぶ様子から、この様子を見て「アカトンボが飛んでいるね~」と間違える人が多いと思います。何を隠そう、かつての私もそうでした;海上の里で群れ飛ぶウスバキトンボを見て↑のような事をつぶやいたら、その頃自然を教えていただいた方が「ふっ、」と笑って、「これはウスバキトンボなんですよ」と話されたのを良く覚えていますとも。
このトンボが来るのが早かったり、本来現れないはずの4~5月にまれにぽつんと飛んでいたりするのを見ることは、温暖化が進んでいることの現れと言えるのかも知れません。特に4~5月の春に見た年の前の冬は、暖かかっったりしたので、もしかしたら前年秋に生まれたヤゴが、本来なら寒さで死滅するはずが、そうならずに生きながらえて、孵った可能性もあるのかも??
画像は近所で停まっていた姿を撮ったもの。普段は滅多に停まったりはせず、グライダーのように滑るように滑空していますね。→この飛行の仕方がアカトンボ類と見分けるポイントにもなるのかも。アカトンボは小刻みに飛ぶことが多いし、体も一回り小さめです。
*何故か今年はウスバキトンボ、そう多くはなかったですね。普段なら11月でもまだ姿はあるはずですが・・・。
あ、でもこちらのブログでもちょくちょく登場している、あの「赤いトンボ」がいるじゃない!?
↓
はい、ショウジョウトンボです。
ショウジョウ=猩々(お猿さんの真っ赤な顔)の通り、雄は全身真っ赤な、それは綺麗な赤いトンボです。6月くらいから池に現れます。アカネ亜科の中のショウジョウトンボ属となっていますね。
パソコン検索の中では、このトンボを「アカトンボ」の仲間に入れているところもありますが、こちらでは定義に入れない派に賛同します。
・アカトンボの種類
では、アカトンボと呼ばれているトンボって一体何?と思いますね・・・。
分類状で「アカネ属」に入るトンボが入るという定義が一番しっくり来る気がします。
手持ちの「ハンドブック海上の森の花・虫・樹」によれば11種類いるとあります。でもこれは海上の森での事。
こちらのサイトでは、兵庫県で15種類とありますね。
なんでも中には赤くならないナニワトンボというトンボなども入っていたりします。へぇ~~!!愛知ではいないかみたことないなぁ・・・。専門的な箇所もありますが、苦手な方はざっと読んでいただければいいかと・・・。
日本では21種類がアカネ属に入るそうです。
この中で、アキアカネだけが、ヤゴから成虫になって、一時期避暑に山の上の方で過ごすという事のようです。
・アカトンボが減っている・・・。
私の子どもの頃、小学校の運動会が秋に行われていた頃、運動場では沢山のアカトンボがいたことを覚えています。水たまりに産卵しようとするペアのトンボもいて「そんなところに産んでも駄目だよ~」と皆が言っていたことも。
大人になった頃、実家のある団地はあまりいなかったのではないかな、でも豊橋に来た頃は、まだ普通にアカトンボがいて、洗濯物干しにやって来て停まっていたのを良く覚えています。
・・・・・しかし、今はその様子はありません。ご近所めぐりで数頭会えればいい感じになってしまいました。
それで、関連するメーリングリストなどでアカトンボの様子について訪ねてみましたが、フィールドでの実経験を通しての回答は、わずかな方を除いて殆ど無い感じです(知ってはいても書き込まないケースもあるのですが)。
そこで、豊橋には折角ある自然史博物館で、昆虫専門の学芸員さんに尋ねてみました。
・アカトンボが急激に減りだしたのが2000年に入ってから。確定した証拠はない物の、状況証拠的に農薬ネオニコチノイドの要因は疑いがないこと(使用量が増えたのに従い減ってきた)、
・最近アカトンボ類の定量調査はしていないので、どれ位減ったとか言える人は少ないだろう、とのこと。
・1970年代~1980年代に、公害や農薬?でやはりアカトンボ類が減ったので、アサギマダラのような定量調査を行っている。その後、対策のおかげでアカトンボ(アキアカネ?)の数は復活した。
・今の人は、ウスバキトンボをアカトンボとよく間違えているので、減ったという実感が少ない。しかし最近はウスバキトンボとの違いの普及も広まりつつあり、認識が改まりつつある模様・・・。
・・・と、このような感じでした。
先ほどのリンク先と同じ場所でもこのような記載があります。
かつては身近にいて、生活の中の風物詩にもなっていた生き物が見られなくなり、やがてアカトンボについてやはり「知らない」、或いは「正しく知らない」子ども達がいる世の中になってしまう、、このことは単にノスタルジーとかではなくて、生物の消滅の危機=いづれは人類にも跳ね返ってくる危機、であると言えそうです。
ネオニコチノイドの問題は、よく知られていることとして、ミツバチの減少が言われていますが、アカトンボ類もなのですね。
自然を見ていく者として、このような自然界の様子にも危機感を持って見ていくことが必要ではないか、と思うのです。
その2に続く
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