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「トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界」感想!

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久しぶりに、夢中になって読んでしまった1冊に巡り会えました!トーベ・ヤンソンさんのことを知りたい人、または戦時中のフィンランド情勢について知りたい人にはとても充実した内容であるし、最近の世の中について考えている人にとってもこの本は色々思えることが多いと思います。

トーベさんについて研究してきた冨原さんが10年もの研究を経て本にまとめ上げた、労作と言えるものです。正に。

分厚いですが文章はさほど難解ではありません。ただ、、解説が欲しいと思うものもありましたね。例えば、「マリアンヌ」や「ポルシェヴィキ」について。一見人物みたいに思えますが、前者は実在の人物ではなくて、自由の国フランスを象徴した女性像であり、後者はソビエトのレーニンが率いた党名です。

また、文中、当時のフィンランド周りを動かした人名が何人か出てきますが、なかなか覚えるのが;;「あれ、この人、どんな人物だったっけ?」とページ読み返したり。とはいえ、詳しくかみ砕かなくてもおおよそのフィンランドの事は分かるかと思います。

・「ガルム」について

さて、本書のタイトルにもなっている「ガルム」とは、フィンランドで30年もの間発行された、政治風刺雑誌です。本書ではカリカチュアと表現されていることが多いです。政治の風刺もありながらも、小説とか、ちょっとしたジョークとかもちりばめつつも、ヘンリー・レインさんという編集人さんと数々の風刺挿絵画家や執筆者によって刊行されてきた、スウェーデン語系雑誌(ここ重要)でした。

他にもフィンランドやスウェーデンなどで数々のカリカチュア誌があったそうです。西欧諸国では風刺の分野も早くからあったのですね。

日本って、あまり風刺画とか見ないし少ない感じもします。だからでしょうか、やはり洗練さなどは西欧のほうが感じられるのかも知れませんね。

・当時のフィンランド情勢

今、「フィンランド」と言えば、「ムーミンだ」とか、今ブームの北欧デザインの国の一つ、とか、陶器のアラビアとかイッタラ、福祉に厚い所など、そんなイメージが浮かぶでしょうか。

良く周りの北欧諸国と一緒にされますが、特にスウェーデンと似た感じもあるけど、どうやらスウェーデンとは何となくライバルのような間柄みたいです、今もかな?

かつては、そのスウェーデンの支配下に置かれ、また一時はロシアに制圧されたり、ソビエトになってからも常に脅かされてきたという歴史があります。独立を勝ち取ったわけですが、その後も内戦が起こり、そして第二次世界大戦の中、やはりソビエトとの戦争、そして当時台頭してきたナチスドイツや、イタリアのファシズムの脅威もありました。当時、ソビエトに対抗する手段として、ナチスドイツなどの右傾化に共鳴する人もいたそうです。

そして今もですが、国内では、フィンランド語系の人、そしてスウェーデン語系の人がいて、どちらも共用語。そしてヤンソンさんはスウェーデン語系フィンランド人でした。母のシグネさんは元々スウェーデン人、お父さんのヴィクトルはスウェーデン語系フィンランド人。

その2つの言語の中で、当時フィンランド語への扱いの不平等さから、フィンランド語を重んじる動きが学生を中心に起こったのですが、後にそれが右傾化となって、フィンランド語でないと受け入れない、と言う動きになってしまい、スウェーデン語の排除という行動にまでなったのですから、スウェーデン語系の人には実に生きにくい社会になったことでしょう・・・。

そしてやがて戦争、全体主義が蔓延して、自由な動きが取りにくい、状況悪化での食糧難とか灯火管制(空襲の目印にされないよう、部屋の灯りが外に漏れないよう窓を黒い布で覆うなどした→「この世界の片隅で」でもすずさんが暮らす北条家でもありましたね。)、禁酒法などなど・・・。

そんな情勢と人々の暮らし、当時の政治家についての風刺とジョークを「ガルム」では取り上げていったのですね。

因みに「ガルム」とは冥界の番犬のこと。画像でもある黒い犬がそうです。

後にこのガルムと共に、あのおなじみのムーミンも登場し、同じくマスコット的な役割を持つことになります(勿論絵はトーベさん!)。

 

・母シグネさんの絵、そしてトーベさんの絵

ガルムの挿絵や表紙絵画家として支えたのが、トーベの母、シグネさん、そして娘のトーベさんでした。その他にも何人かの風刺画家のかたが挿絵を描かれたようです。あのアラビア陶器をデザインした一人、カイ・フランクの名もある!

本では最初は、フィンランドの情勢を交えながら、他の方の風刺絵が主ですが、やがてシグネさんの絵が多くなり、後半は母の後を引き継いだトーベさんの絵が中心になってきます。

他の方の絵とか、シグネさんの絵もなのですが、当時の政治家や運動家(右傾化とか新フィン主義の人など)を鋭く批判した絵が多くて、辛辣な物も結構あったりする;しかし一方で、トーベさんのそれは、勿論辛辣なテーマもあるけれど、必ずどこかにユーモアがあって、スパイスと共にどこかクスッと笑える絵である事が多いです。それがいいかな。

とはいえ、当時は検閲も勿論あって、トーベさんの絵も検閲にかけられたし、物議を醸したりもしたそうです。あの時代、風刺絵を描き続けることは勇気も要ったことと思います。検閲しているご婦人方が、対象の物語の結末を気にしている絵なんて言うのもあって、笑えてしまいます(これも引っかかってしまったそうです)。

前に書いた、右傾化の人がドイツの劣勢と共に何事もなかったかのように変節する様を描いたのは、「変身請負工場フル稼働中」というタイトル。黒い装いの、つばも吐く右傾化の人が、工場から出るやいなや、真っ白い、以前のことなど知らないがごとくの装いで出てくるパロディー画。多分ガルムで検索するとどこかで出てきますよ。

その他にも当時の人々の暮らしの様子を描いた絵の数々もあって、当時の食糧難や防空壕生活、そんな中でも限られた逢瀬を大切にする恋人達、男女の駆け引きなどの絵が楽しいし、大変な中でも生き抜こうとする人々の姿があると言えるかな。

因みに私の好きな絵の一つが、上の画像にある裏表紙の絵「灯火管制下の天使」。

そして戦争が終わって平和な世界が戻ってきた頃のトーベさんの絵は喜びと、何ものにも縛られなくなった開放感にあふれているのを感じることが出来ます!

そして戦時の途中から、最初はちっちゃく「ムーミン」が登場、ヒトラーが略奪する絵の所で文に紹介されていますが、その前のページでも一つ見つけたよ!だんだんガルム犬と同じくらいのキャラクターになり、後に独自のムーミン物語の主人公になっていくのですね。

 

・歴史は繰り返されるのか?

この本が出たのが2009年。まだ東日本の大震災もなく、第2次安倍政権も無かった頃。

そして今は他の国では大変なところもありますが、日本とその周りは大きな戦争にはなっていなくて、平和とは言えます。

しかし、、フィンランドで言語を巡っての分断があったり、お隣のスウェーデンとの関係が複雑だったように、日本でも韓国との関係悪化があって、必要以上の対立が起こるのは心傷むことでもあります。

世界各国で右傾化の政党も台頭したりもしているし、アメリカでも移民排斥や白人至上主義が起こったりして、各地で分断が起こったりしています。

本書の中にも「忖度」とか「不寛容」「全体主義」という言葉があったりするけど、現在、その言葉が良く顔を出すようになっている。

そして、政治などの批判する動きを封殺しようとする空気もあります。

美術の世界では、「あいちトリエンナーレ 表現の不自由展」が中止に追い込まれ、国の交付金も停止と言う事態が起こりました。再開を望むところです。各展示作品に関する賛否等、勿論それぞれの意見は自由です。しかし脅迫が短期間に起こったのは異常です。

もうひとつ残念に思ったことがあります。それに付随したかどうか不明な各学校関係に向けての脅迫(似たような脅迫は、後日他地域でも起こったことと、関連を臭わす物は芸術センターにもガソリン云々の一文のみ、関連がらみでも同じ事ですが)が起こり、影響を被ったのでしょう、元々賛同とは思っていなかった展示そのもの自体を「迷惑」とまでしてしまう見方も出てしまった事です。確かに市井に迷惑な事件でしたが、迷惑をかけたのはあくまでも愚かしい脅迫者であって、展示ではないし、賛否とは別の所にあるはずです!(敢えて書きました、これが一番引っかかっていたことなのです。似たようないわれなき扱いは、ガルムの中でもある人種に対してあって後から見るとあんまりだと思うものがあったりする。)

時代は知らず知らず繰り返されるのかな?気をつけないと繰り返してしまいそうですね。

私たちはそうしてみると案外進歩していない、と言えるかも知れません。論理的に見えても主観や感情で言動を行ってしまう、、いえいえ、知恵を持って何とかかつての道には戻らないように歩んでいきたい。当時の人々の残した物から学ぶことは多い。

 

当時のトーベさん以外の絵を見ると、結構、これが日本語だったとしたら「露骨やな~」と言う物もあったりします;

因みに多くはないですが、日本も題材になっている絵があったりしますよ。

と、多くを書いてしまいましたが、関心を持たれた方は、何かの機会で是非読んでみては如何でしょう?(でもお値段は高いけど;でもその価値はある!)

*これまでに入手したヤンソンさん関連の書も改めて読みたい気もしますが、また時間が取れたときに!!

 

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「トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界」読了!

次の海上の森の観察会とか更新が待っておりますが(汗;)・・・。

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「トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界~ムーミントロールの誕生」 冨原眞弓著 青土社 (2009年)

ついに読み終えました!!

お値段が税込みで4000円超えの分厚い本なので、ムーミンの原作者、トーベさんの絵などの世界が好きな人以外にはなかなか手が届きにくいかも知れません。でも好きな人には買って損はしない1冊だと言えます。特にムーミンだけではないトーベさんの活躍などを知りたい方にとっては。

感想は、次の記事に集約するとして、

今回この書では、ムーミンの原作以外のトーベ・ヤンソンさんの活躍の舞台の一つであった、当時の政治風刺(カリカチュア、と呼ぶらしい)「ガルム」に寄せられた挿絵や表紙絵を交え、当時のヤンソンさんのことや、ヤンソンさん以外の挿絵、そしてフィンランド情勢について書かれた本です。

これまでに入手した、トーベさんとムーミンについての本などを・・・。

「ガルム」に絵を載せたことについて最初に知ったのが、、

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「ムーミン谷への旅~トーベ・ヤンソンとムーミンの世界」講談社(1994年)より。

当時ムーミンとヤンソンさんについてのほぼ初めて?と言っていい本だったと思います。まだヤンソンさんご存命だった頃の本です。ヤンソンさんは芸術家だったこと、そしてガルムでの絵も少し載っていて、こんな事もされていたんだな、と分かったのでした。

そして、

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2004年に何とおかざき世界子ども美術博物館で「トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の素敵な仲間たち展」が開催され、名鉄とタクシー(美術館に行くには車以外だとこの方法しか無くて;)で観に行ったのでした!ガルムの絵も展示してありましたね。

そしてこの時買ったのが、この図録集。作品が沢山紹介されていて、ムーミン以前の油絵もですが、ガルムに載せた絵も豊富で、今回読んだ本には載っていない絵も数々あり、今思えば「買って良かった」と言えるお宝本だと気がつきました。

なんとネットでも売っているのを見たけれど、これはいいですよ!

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「芸術新潮 2009年5月号 60巻5号 通巻713号 ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソンのすべて」

一番目の本が入門的な意味合いがあれば、2番目の図録はお宝、そしてこれも最も力を入れて編集されたものだと思っています!見応え読み応えアリ!

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「美術手帖 2014年11月号増刊 第66巻 通巻1015号 2014年11月15日発行 特集 トーベ・ヤンソン」

こちらも良く編集されているとは思いますが、内容的には芸術新潮のほうが上かな。

上の本などではトゥーリッキ・ピエティラ(おしゃまさんのモデルになった人)さんのことを「親友」と表記していましたが、最近は「パートナー」とされていて、あれ?と思っていましたが、ここで納得。同性愛だったのですね。今ではそれを咎める社会では全くではないけど無くなっているので。(男性の恋人さんも何人か見えたそうですよ。)

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時折、絵本などについて載せているこの雑誌MOEなんかでもムーミンやヤンソンさんのことは取り上げられていて、この2冊は買ってみたもの。また、リニューアル前のkunel(私はこの頃の方が良かったな、)にもヤンソンさんが夏に暮らした島のことなどが取り上げられていました。ええ、持っています。

他にもヤンソンさんについての本とか、後年のヤンソンさん自身が手がけた小説とか色々ありますが、全部を揃えることはちょっと出来ないかな;;

買おうとするなら、本格的に知りたいための本の場合、今回の「ガルム」についての本位の値段のものになってしまうので、そして雑誌とかはもう何度も知っていることとあとはムーミングッズの宣伝なのですからね、よほど興味持つとかでない限りあまり買えないのではないかと思います。

でも、展示はまたいつか来て欲しいですね。時折名古屋とかに来ますが、出来ればやはり、2004年の時のボリュームの物が見たいなぁ・・・。

ということで次から、感想、行きます!!

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読み始めました!

「トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界」読み始めています。

いやぁ、、何これ、面白い!!!!!

フィンランドと周辺の国々の歴史事情とその関連人物の話を絡めながら進むので、なかなかに読むのも多少の労力は要りますが、それ以上の読み応えです。

読んだら絶対感想書く。

そして、つくづく、歴史とは繰り返される、気をつけないと本当に繰り返されるのだと言うことを読んで気がつかされます。

トリエンナーレニュースの中タイムリーだと思ったりもする。

*何と、トリエンナーレ「表現の不自由展」再開へ向けて動くお知らせが!まずは、良かったです。やはり最近の世も「不寛容」になっていると振り返って思いますね。必要以上の批判もあって、かなり引っかかったりもしました。

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教典とお宝本、到着!!

高校~短大の頃は「本の虫」でした。

最近は忙しさにかまけてなかなか本を読めなかった日々でしたが、今年は何故か、本をまた読むようになってきました。とはいえ、眼鏡をそろそろ「○○○グラス」にしないと読むのがツライです;

最近注文した本が、到着しました。

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1冊は、岐阜県で自然観察活動を続けている、小野木三郎先生の新刊本、「老楽酔夢 植物誌」。

もう1冊は、高校の頃、学校の図書室でその原作本を知ってはまることになった、ムーミンの原作者、トーベ・ヤンソンさんの「トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界 ムーミントロールの誕生」です。

小野木三郎先生は、私が自然観察指導員講習会に参加したとき見えた方で、その信念と行動力にただただ圧倒と感銘を受けたのでした。当時やたら話しかけたり、双六山まで登った、「妙な小娘」であった私に戸惑ったことでしょう(苦笑;)

最近、久しぶりに封書が届き、見覚えある差出人スタンプに驚き、開けたところ、「老楽酔夢・・・」の宣伝があったので、申し込んだのでした。丁度以前に出版された本を読み返していた所でした。

数々ある著書は、やはり自然観察の意味や、自然を見ること守ることについての「教典」とも言えるものであり、原点に立ち返りたいとき、何かに迷ったときに読んで確認するのに適していると言えます。

数々の植物画も素晴らしいです。

今回の書も、植物の絵がカラーで紹介されています。

ただ、、届いて見たのですが、やはり老いを感じる面が否めない所も・・・。輪郭は描き直さなかった方が良かったような;

ただし書かれている文章の切れは、衰えを全く感じさせません!!読むのが楽しみです!!

傘寿になられたそうで、日本自然保護協会会報でもお元気そうな姿が写っていて、大分高齢になられたのですが、どうかお元気でご活躍されて欲しいです!!

 

もう1冊の「トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界」、これは、もう正に「お宝本」と言って良いですね!!

税込みで4000円台いってしまうので、確か前知ったときも買うのは躊躇したのを思い出します。でも、この本はそれくらいの価値がありますよ!

ムーミンであまりにも有名なヤンソンさんですが、実は当時の風刺雑誌「ガルム」に多くの挿絵などを描いてきたことを、時々開催の「ムーミン展」で知ったのでした。

トーベさんの母で、やはり画家のシグネさんと共に、当時のフィンランドを取り巻く情勢や日常生活の風刺を絵にしてきたのですが、良く他の本などでも一部見ていますが、改めてみると、ムーミンのほのぼのした雰囲気とは違い、鋭いですね。尤もムーミンにもぴりりとした風刺などは見られますが。

本書はトーベさんについて研究した方が、当時の情勢と共に描かれた絵について解説されているので読み応え、見応えがあります。いや~、ある意味最近の不自由展なんて、凌駕するほどですよ。それでも根底にはユーモアも流れていて、その後のムーミン世界にもそのユーモアが受け継がれていく事が触れられています。そう、これらの絵の片隅に登場した「ムーミン」がやがて独自のお話しの主役になっていくのですね。

日本にはあまり風刺画は描かれないことが多いのかな。中日新聞には時折出るけど、スパイスの量は圧倒的に少ないね・・・。

そうそう、不自由展中止を受けて、トリエンナーレ参加の作家さん達が作品展示ボイコットを表明、見られなくなったり、抗議の意志で展示趣向を変えたりされたようです。しかし海外の方ばかりで日本の方が見えないのが何ともね(その後意思表示された方も見えるようですが)。

因みにトーベさんも検閲は受けたようです。でもその検閲をまた皮肉った絵もあって流石!!となります。

その活躍も、世界大戦から平和になったフィンランドの動きに連れ、ガルムも終刊と共に終え、やがてムーミンの誕生となっていくのですね。

読まねば。

*今日は本当は色々やりたかったのだけど、先日の諸用事のお疲れが出て、買い物くらいしか何も出来なかった日に;ブログの更新だけはできたかな。次は海上の森の分が待っていますね。通信もかかりたいし、そうそう「まとめ」早くやりたいところ。

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ぬまがさワタリさんの「絶滅どうぶつ図鑑」

良く行くアニメ同人さんのサイトつながりのツィッターでぬまがささんという方の動物関連のイラストと解説を見る機会があり、そしてブログにも辿り着くようになりました。
「沼の見える街」
http://numagasa.hatenablog.com/
面白い内容で、引き込まれてしまいます。動物以外にも、アニメや映画などの感想も書かれていますよ。
やがて、動物に関する書籍も出されると知り、へぇ~、となっていましたが、秋に「絶滅どうぶつ図鑑」なるものも出版されました。
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なかなか近くの本屋さん、精文館さんにも見あたらなくて、アマゾンで買いました。今回なぜ、こうまでして買おうと思ったのは、、それは、、
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な、な、何と!!監修にこの方のお名前を見たからなのですよ!!
そう、豊橋自然史博物館館長さんでもあります、松岡さんが監修されているとは!!
届いてすぐページを開き、あっという間に読んでしまいました。
ぬまがささん特有のツッコミやダジャレ、冗談、最近話題のネタに絡ませた描写にくっくっ、と笑ってしまいました。
つい最近、漫画自体は読んでないけれど「ゴールデンカムイ」のことを知ったばかりなので、ああ、そう来る?と思わせる箇所もあったり・・・。
そう、この本は、どちらかと言えば野生動物のことに片足を突っ込んでいる人よりは、何も知らない一般の人向けに書かれているのでしょうね。
一見軽い読み物ですが、特に後半の人が理由で滅んだ動物についての警告メッセージもあります。
以前、熊谷さとしさんが書かれたやはり絶滅動物などについて扱っている「ニホンカワウソはつくづく運が悪かった?!」でも登場した生きものも出ていたりします。
DNA採取から生きものの再生を期待する文もありつつ、反論意見についても触れていますね。
*ニホンカワウソ、、対馬での再発見?についても書いてあります。対馬の環境、カワウソの種の定義もいいけど、疎かにしないでそのカワウソたちが安心できるような取り組みをして欲しいですね。
ラスコー洞窟などに、絶滅した生き物たちがまだ活躍していた様子が描かれていた、というのも心躍ります。
そして本書の前後に絶滅動物たちが生きていた時代の解説や、レッドデータブックについてのわかりやすい解説があるのは松岡さんの監修のなせる技なのかな?
博物館などで、絶滅した生きものの化石や骨格(またはレプリカ)と学名記載を見てちょっと頭を抱えていた私も、この本片手に訪れたら親しみが湧きそうです!
今この現在も、新たな絶滅種が出てもおかしくない状況、多くの人がこのことに気づいて、生き物たちを滅ぼす動きにストップがかけられるといいですが。
「ウワーッ!」となり「なんてこった」にならないように・・・。

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これも、読破しないとね。

「チェルノブイリの祈り~未来の物語~」スベトラーナ・アレクシェービッチ著 松本妙子訳 岩波書店 2011年
*新書版ではもっと前に発行されていた(1998年)。
父親が亡くなる頃に、読めなくなってしまっていました。
なかなか、この手の話題をオープンには語りにくくなってしまった今。実は目を背けては行けないはずだけど、そのような振りをしながら独自に防御をしなければいけなくなっている現在。
最近も、食の安全面でうっかりしてしまい、己の甘さを反省したばかりです。
決して読みやすくはないけれど、防御のために読もう。

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今読んでいる本

以前から読みたいなとは思っていて、ようやく今になって読み出した本がある。
「プラスチックの海~おびやかされる海の生きものたち~」佐尾和子ほか編 海洋工学研究所出版部(1995年)
今から、、23年前に出た本。
以前、まだ家人がウミガメ調査をしていた頃、お会いしたことのある日本ウミガメ協議会の亀崎さん、屋久島の大牟田さんや、以前良くお会いしたことがある藤前干潟を守る会会長さんであった辻淳夫さんも各地報告例として文を寄せている。
まだこの頃、藤前干潟はゴミ埋め立て地候補となっている最中だった、、、保全されている今を思うと信じられない思いです。
辻さんに最も最近?に会ったのは、保全が決まって生物多様性についてフォーラムか何かが豊橋市内で行われた頃だったかな?まだお元気だった頃(現在は体調壊されて一線は退いている形になっている)。
読んでみて、やはり辻さんの文には説得力がある。読ませる、引き込まされる力がある。
時が経って、現在、プラスチックの海洋汚染が広く言われるようになってきて、欧州諸国ではプラスチックの規制取り組みを始めだし、スタバなどでもプラスチック製のストロー廃止を決めたとある。
日本は、、(アメリカの国もだけど)遅れている取り組み。
身の回りを見ても、当たり前にあるプラスチック消費、今ちょっと悶々している;
今読んでいる23年前に出された本の現状から、、、事態は改善はされていないようだ。

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お気に入りの本など

この頃は、なるべく本は買わないようにしたい所ですが、、
ついこの間、近くの図書館で雑誌「和楽」を借りたのでした。買うのには少々根が張るし、なんだか毎回大上段な感じの割には、京都か琳派、北斎一辺倒な感じで買うほどにはと思ってしまうのでした・・・。済まない。もうすこし、色んな日本国内の民芸とか美を取材するなどすれば魅力的なのに。同じ京都取り上げるのでもクロワッサンの方が手元に置きたかったりする。まあ、読むにはそれなりに読める記事もあるのだけど、わざわざ絵の一部だけアップというのも興ざめしてしまうし、、
そんな「和楽」に牧野富太郎さんの植物画があって、それが素晴らしかったので、つい画集をアマゾンで探して買ってしまったのでした。
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「牧野図鑑学生版」は家にあって、絵も載っているけどやはりそれなりの大きさで見ると、本当に素晴らしいし素敵だな~、と思います。ホンモノはやはり凄い!
で、お若い頃の写真が載っているのだけど、イケメンさんだったのですね~。でも、生家を没落させてしまったそうであるし・・・。
高知の牧野植物園、いつか行ってみたいです。それ以外でも高知は色々面白いからね。
もう1冊・・・。
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これは、開高健さんが監修したシリーズの1冊。他に野鳥のものと、女流ナチュラリストさんの画文集も持っている。
何せまだ学生だったか、お勤め始めの若い頃に、藤が丘の白樺書房さんで買ったと思う。
今は無くなってしまったらしい、白樺書房さんは、普通の書店さんには置いていないようなマニアックな本が多くて、つい、立ち読みで寄ってしまいましたね。チベット密教とか、ラスプーチンとか、自然系の本も良さそうなものが多かったのです。→どんな学生、またはOLだったんだか;
あの頃、自然観察するって、どことなく異端めいていて、バードウォッチングなんて言ったら「暗い・・・」と言われたし、「自然か人か、自然保護なんて暇なんだね」という時流が大きかったですね。でもイギリス当たりではしっかり市民権があったのですよ。
買ったはいいけど、当時仕事、それも残業とかもあって、なかなか本を読む時間なんてなかったから・・・。ようやく、今の家に来た頃に読めたはず。
ここにも、先の記事の「ヘッジロー」(本では低木列)の紹介があったり、本の舞台のイギリスなんかの自然環境が紹介されたりして、調査方法、観察方法も載っていたりします。しかし、同時に、過度な採集などを戒める記述もきちんと書かれて、抑えどころはしっかり書いてあったのが感激したのでした。
しかも本の終わりの部分には・・・。
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「ナチュラリストのおきて」
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何と、その頃からイギリスでは野鳥の営巣妨害行為は違法行為となるのですね!!
そして締めくくりに「調査や写真撮影よりも、対象生物の幸せの方がより大切である」といった旨の一言が添えられていて、確かにこれに尽きる、と思ったのでした。
今の身の回りで、自然に親しむことは割とメジャーにはなってきたと思うのですが、自然に対する掟というのかフィールドマナー、生き物との付き合い方についてはなかなか言われることも話し合う機会も無かったりします。で、また言いにくいことであったりもする(苦笑;)。
まあ、処罰感覚で言うと反感は買われてしまいやすいですしね。
ただ、何故それが行けないのかとか、伝える必要、具体的に伝える必要はあると思います。
勿論、確信犯的な方には届きませんが、
案外知らなかったりして起こしてしまうケースもあると思うのと、
「忘れてしまう」もありますね。
この頃デジカメの進歩は素晴らしいものがあって、特別な撮影技術やスキルが無くてもそこそこ良い画像が撮れてしまうし、ネットなどでこうした出来事を話す楽しみも広がっている昨今、
つい、「もっと」と対象物を追ってしまう誘惑に駆られやすいと思うのですよ。
デジカメ良い性能のを持つとそれが良くわかる。
しかし、そこで、「あ、これ以上はマズイかも」と気づき、止まる事が出来るように、そうなれるかがポイントなのですね。
近々、詰めて書いてみようかと思います。
これは誰かを責めるためとかではなくて、お互いに、気をつけましょう、というために。
上の2冊、またじっくり読みたいなぁ・・・。

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「鳥のくらし図鑑」

しばらくは、しなければならない用事以外はほとんど手に付かない状態でしたが、だんだん普段の状態に近づいてきたかな、、、と言うところです。

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おすすめです。

日本の野鳥の代表的な種の四季毎の暮らしについて絵と文で紹介。沢山取材したのかな。サシバのページの中には「あ、これって伊良湖だよね」という箇所もちょっとだけ出てきます。やっぱりメジロはアケビも食べるんだね~。
しかし、私か鳥について興味を持ちだした頃、冬鳥とされていたハクセキレイは今では留鳥となったんですね。
(かつては冬に渡ってくる鳥、であったけど、次第に夏も日本各地で繁殖する姿が見られるようになった・・・。)
参考文献の紹介にPDFとあるのは時代の流れなんですね。

たったひとつだけ、、、ちょっと残念。

それは、、アザミの描写、もうちょっと丁寧だったら良かったのにな~~。それができる方(おおたぐろさん)だと思うので、そこだけがひっかかってしまいました。

追記

途中までですが、いろんな調査結果で得られた鳥たちの生態がこの本に反映されているのが分かって大人も充分に面白いです!

それから、本を読んで気づいたことですが、ヨーロッパやロシア当たりは以前から野鳥の調査研究が行われてきているので、冬鳥などが夏に渡った先での繁殖のことは知られるようになっているけれど、夏鳥達の越冬地である東南アジアではまだ野鳥の調査・研究は進んでいないのかな~?ということです。そちらでも夏鳥達が越冬先でどうしているのか、解明されるようになったらいいのにな、と思います。保護のためにも。

いろいろ、私が鳥について知らなかったこと、知りたかったことなどが1冊に濃縮されているので買って良かったです!!通信でもしっかり紹介します!!


 

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