実は、「持続可能な開発のための」取り組みとしては、SDGsの前にESDという取り組みが行われていました。
ESDとは、Education for Sustainable Developmentの略称で、「持続可能な開発のための教育」のこと。
世界にある環境、貧困、人権、平和、開発と言った問題を捉え、身近なところで取り組む、持続可能な社会作りの担い手を育む教育、と言うものです。
文部省内の「日本ユネスコ国内委員会」のサイトに概要が載っています。
http://www.mext.go.jp/unesco/004/1339970.htm
そう、SDGsは国連ですが、こちらはユネスコが主導になります。サイトを見ると、こちらも本来は環境学習や生物多様性、気候変動など環境問題も主要な柱であることが分かります。勿論他の問題についても項目があります。
豊橋市でももの取り組みが行われ、市内の全小中学校が「ユネスコスクール」に登録されました。こうしてみる限りでは、豊橋って流石だね、なんて思う所ではあります。
では、実際の教育でどんな風に取り組まれたのでしょうか?
実は、2014年6月15日に、「東三河ESDユネスコスクールフォーラム」という催しが愛知大学であるのを知り、「持続可能な」の言葉にぴんと来た私は参加してみることにしたのでした。元市議の方の便りのチラシがあったのがきっかけです。
内容としては、豊橋市内の小中学校数校によるESDとしての活動を発表するものでした。
ステージでの発表内容は以下の通り(学校名はここでは載せません)
・豊橋公園に残っている戦争遺跡を訪ね、また戦争体験をした人のお話しを聴いて平和の大切さに気付き、語り継いでいくもの(観察会でも戦争遺跡は取り上げたことがあります!)
・世界で起こっている戦争や貧困について調べ、学んだこと
・「たけのこフェスタ」校区内にある竹林の管理と竹の子の収穫。
・防災の取り組みについては2校、内1校は校区内の幼稚園~小学校~中学校と連携した避難のあり方について(三河湾に面しているので地震や津波の想定には切実な面がある)
でした。
テーマはそれぞれ戦争、平和、環境、防災に分かれた内容で、それぞれの取り組みは悪い物では無いでしょう、、しかし、環境に関してもう少し踏み込んだ内容の物があっても良かったのではないか、との感を持ちました。環境に関しては、パネル発表として人工干潟についてや汐川干潟に関してのものがありました。
これ以降の年度の発表もあった事と思います。で、サイトで検索してみた限りでは、、、防災や平和などはあるのですが、
環境面がどうにも弱い感じが否めない気がします。
実際の豊橋の地での身近な環境に焦点を当ててESDらしい取り組みがあったのは汐川干潟しか見あたらなかったと思います。
(勿論ESDとしてではないけど環境教育を身近な校区の舞台で行ったケースはある事と思います)
そして、申し訳ないけれど「果たしてこれはESDなのだろうか?」と思ったケースもあって唸ってしまいました。これは一概に学校を責められないのかも知れません、限られた時間と忙しさの中、先生はギリギリの中で教育プログラムを考えてきたのかも知れないですからね。
しかし、自然も豊に残っている東三河は豊橋での取り組み、本来ならもっと環境学習に焦点を当て、深めた内容があっても良いのに、と言う思いは拭えないことを実感したのでした。
これが私が正に豊橋でのESDに感じた「消化不良感」なのです。
勿論元市議の方が言われたようにESDは環境問題だけではない、というのもありますが、ESDの理念について文部省のサイトにあるように、環境問題は主要な柱でもあり、それを思うと環境への取り組みがあまりにも脆弱な感じをもってしまったというのが正直な気持ちです。
*SDGsもそうなってしまわないか、という懸念を感じるのはこうした動きがあるから。
このESDへの漠然感に関しては、「藤前干潟を守る会」でも現理事長の方が述べられていて「持続可能」と言う言葉の定義がはっきりせず、「言ったもの勝ち」のようなところがあるので違和感がある、と述べています。ニュースレター「ダイシャクシギNo.98」より。
・・・そうだよね、確かに;;;
*因みに藤前干潟はゴミ埋め立てから守られ、保全されていることは周知の通りです。汐川干潟とも活動での連動があったりしました。
そんな中、認知度も今ひとつだったらしいこの取り組みで驚くべき活動があったことも記さねば。
それは、やはり2014年の名古屋市の小学校での取り組み。
主催は市民団体なのですが、校区内にある相生山という場所の自然環境の未来を考えるシンポジウムがESDをテーマとして行われたことです。
相生山、と言えば長らくこの場所の森を分断する道路建設計画の是が非が問題となっていて、道路建設が一旦凍結、都心では貴重なヒメボタルの住むその森のありかたについて考えるシンポジウムが小学校という場で行われたこと、これには驚きでした!
なぜなら、行政の計画に一石を投じる問題の地について触れることは、学校という場ではやりたがらないものだと思われたからで、それが開催されたことはなんだか画期的、これこそESDにふさわしい事でもあると思ったのです。
保守的な東三河のこの地域では考えられないな、、とも。
そこまでではなくても、身近な地から起こる環境問題~それが世界とどうつながっているのか、という視点での教育がもっとあって欲しいな、と思うのです。
(その後の相生山に関しては、道路の建設は一旦凍結はされましたが、その後の森の保全のあり方を巡って、市側、そして複数の市民団体との見解の相違などがあり、具体的な解決方法はなかなか見いだせていない現状となっています)
さて、どうしたらSDGs、より具体的なものになるのだろう、、、、
続く。
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