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東三河の自然環境と人との関わり方について

悲しい出来事がありました。

いつものご近所めぐりで、観察場所として魅惑的な場所の一つであった、古いイヌマキ生け垣が、突如このようにバッサリと伐られてしまっているのを見たとき、呆然としてしばらくその場を動くことが出来ませんでした・・・。

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イヌマキの生け垣は、庭や畑の仕切りのような形でこの地域では良く見られるものですが、長らくここの場所は中の畑は耕作放棄されていて、生け垣自身も他の蔓植物が生い茂ってイヌマキと共に見られる、土地の管理的な見方からすれば、好ましくは思われなかったのかも知れません。

いつも見るご近所の自然のある場所は、他の方の所有権でもあるので、このことに文句等が言えず、どうしようもない面があります。

それでも、、多種多様な植物が共に生えているこの場所は、生きものの生息場所としてはかなり魅力的な場所でもありました・・・。

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ついこの前、ここで冬越しをしているウラギンシジミを見つけて、その出会いに喜んだばかりでした。

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サルトリイバラの花が咲き出したばかりでした。

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サネカズラも幾つか見られ、

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秋にはツルウメモドキが沢山成りました。

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オオカマキリの卵鞘が、冬を越して春に孵るのを待つ場所でもあり、

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夏にはクサグモのお母さんが卵を子守する姿もありました。

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何と言ってもここのテイカカズラは花の時期とても見事だった・・・。

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イヌマキの、他の植物も一緒に生息している様は、本物は見たことがないけれど、イギリスにある生け垣=ヘッジローに共通する物があるのではないかな、と思っていて、そのことをFacebookでつぶやいたら、写真家のIさんが、日本のイヌマキを始め、里山などの農的環境は「超」ヘッジローだと思う、というコメントが付きました。

*イギリスの古来からある生け垣=ヘッジローはそこに多種多様な生きものが生息していて、二次的な自然ながら生態系が豊かな環境として、イギリスの自然史的な書籍にも紹介されています。

恐らく長らく工作もされていない用地を、持ち主は整理したかったのだと思われますし、他に転用するのかも知れません。また長らく他の植物を茂らせた荒れた状態を他の人から言われてきたのかもしれない・・・。

畑地などの耕作地の放棄はこれからもあり得ることで、昔ながらの農業の存続は難しいなど、別の問題もあるのかも知れません。

しかし、実際の人の利益には直結しにくい(様に見える)数々の自然の恩恵、人の暮らしの根底にも本当は関わっているだろう生態系が失われることになると思われ、こうしたことが数々続くと、自然生態系の劣化に結びつくのかな、と思えます。

今回失われたのは、

ミツバアケビやサネカズラ、ツルウメモドキの実の成る蔓植物→野鳥の餌でもある実、の消失

ミツバアケビやサルトリイバラ、そしてテイカカズラの花が咲く蔓植物→チョウや蛾などの蜜源になる、の消失

冬に高地から降りてくるアオジや、北国から渡ってくるシロハラなどの鳥が身を隠す藪の喪失

ウラギンシジミなどの越冬昆虫の冬越しの場、オオカマキリやクサグモなどの産卵場所の喪失

・・・・とかなりのものになってしまいました。

こんなことを言う私は、管理の立場の人から見れば、一般の人から見れば、なんとも奇特な人間と見られるのかも知れない・・・。

似たような出来事は、10年ほど前にも遭遇し、これもかなりショックだったことを覚えています。

https://62753154.at.webry.info/200906/article_8.html

そしてその持ち主の立場の人の声も聴いたことがあります。

https://62753154.at.webry.info/201512/article_2.html

こうした事情と、地域の自然や生きものの世界を残したいと思うこととのギャップをどうしたら少なくできるのでしょう・・・。

ただただ、悲しいばかりです。次のご近所めぐりに出るのが気が重くなってしまいそうです。

 

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